こんにちは、わたせです。
大人になってからは小説を読む機会がめっきり減ってしまったのですが、小学生の頃は図書室図書館大好きで結構本を読む方でした。
小学生の頃にハマっていたのが「地獄堂霊界通信」シリーズ。
香月日輪先生のデビュー作で、小学生が幽霊や妖怪の問題を解決していくというストーリー。
怖がりなので当時流行っていた妖怪レストランシリーズは読めなかったのですが(読んだら夜中にトイレに行けなくなるわ風呂は怖いわで…)地獄堂霊界通信は明るい登場人物たちのお蔭で楽しく読め、大人になってもふと思い出すほど印象に残っていた本でした。
地獄堂霊界通信ってどんなお話?
小学五年生のいたずらっ子三人組が、町にある薬屋さん【地獄堂】の店主から貰った不思議な力で幽霊や妖怪に関わる事件を解決していくという王道ストーリーです。
ただ霊を倒す!だけではなく時には手を差し伸べたり、児童向けだけれど救えない魂があったり、正しいとはなんだろう?命とはなんだろう?と考えさせられるお話もたくさんあります。
特に1巻収録の「地獄堕ち」はまさかの不倫と夫婦仲のお話。読み終わったあと、地獄ってこういうことね…と既婚者ならゾワゾワすること間違いなしです。
登場人物紹介
登場人物はこんな感じ。イラストはイメージで描いてみました。
3人は同じ上院小学校に通う5年生。元気で攻撃担当のてっちゃん、優しくて守りのリョーチン、冷静な参謀の椎名とバランスの取れた3人組です。
私の推しはリョーチンです。全力で泣かせにきます。
後に椎名も驚く大金持ちのお坊ちゃんや、魔女の転校生など仲間も増えてわいわい賑やかになっていきます。
- 人間に姿を変えるべらんめえ口調妖怪
- 年齢不詳の天才傀儡子
- 神に選ばれた病弱美少年依代
など、大人のお姉さんが気になりそうな属性もちらほらと。
怖い話が苦手でも読める?
妖怪はともかく、幽霊や呪いの話は怖いから読まない方もいますよね。私も怖いテレビとか見てしまうとシャンプー中に背後が気になったり、毛布から足を出せなくなったりするタイプです。
家族の関係があたたかい
それでもこの小説が読めるのは、温かいからなんです。
主人公サイドの登場人物に共通しているのは「家族を愛し、愛されていること」家族の形は違えど、どこも温かい~。
主人公てつしはお兄ちゃんの「上院中番長」竜也が大好きだし、竜也兄もお箸であーんしてしまうほど弟のてつしが大好き。
椎名の両親は仕事の都合で同マンション内で別居しているけれど、ラブラブ夫婦。クールな椎名だけれど母親との外出はちょっと誇らしくて嬉しいのが伝わってくる…。
リョーチンは上の兄姉に肩身の狭い思いをしているけれど、リョーチンが帰ってこない時にはお兄ちゃんがまっさきに探しに来てくれる。帰ってきたらお姉ちゃんが味噌汁を温めてくれる…。
大人になって温かい家庭が当たり前ではないと知ってしまった今、尚更この温かさが沁みるんですよね。
生き方について考えさせられる
人の弱い心につけ込み悪さをする妖怪や霊の話が多い地獄堂霊界通信。
てつしの同級生が妬みや劣等感のあまり妖怪に翳(カゲ:内面の暗さ)を食べられてしまう話は、妖怪を悪徳なセールスなどに置き換えれば私達にも通じる部分があると思いました。
「どうすれば翳を食べられずにすむのか?」という問いに、地獄堂のおやじは「入り口を作らなければいい」と答えます。
入り口とは心の弱い部分。人を恨んだり、憎んだり、妬んだりして心にスキマ(入り口)を作ってしまうと、わるいものはそこから入り込んでしまう…何だか心当たりがあるような気がしますよね~…ほんとね…。
堂々と胸を張って生きていれば翳を食べられる心配は無いそうなので、くよくよせず自信を持って育児したいと思います。
日々の生活を省みるきっかけにもおすすめの一冊です。(1巻と8巻おすすめです)
母親がキーワードのお話が多い
これはお子さんがいる方へのおすすめポイント。
地獄堂霊界通信は作者が女性ということもあってか、母親絡みのお話が多いです。
嫁姑の介護、子供へ過度な期待、先述した不倫など、現実世界でも起こりうる母親特有のドロッとした問題がテーマだったり、子を思うあまり悪霊と化した母親の話だったり。
読み終わった後に、もっと子供と接する時間を増やそう。もっと優しくしようと思えるお話が沢山です。
子供の頃は三人悪かっこいい~!だけで読んでいましたが、最近はすっかり三人を見守る大人たちサイドの気持ちになって読んでしまいます。
おすすめは4巻収録の「高速の魔」椎名母と霊になった母親の対比が絶妙。そしてホロッと泣けます。
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小説が苦手な方へ!漫画版もあるよ
地獄堂霊界通信の第一巻は1994年に発売されました。それから24年たった現在、なんと漫画が連載中!
講談社のgood!アフタヌーンで連載中で、現在10巻まで発売中です。
しゃばけや押し入れの少年など、ホラーテイスト作品のコミカライズに定評のあるみもり先生の手で描かれた霊界通信!言わずもがな最高です。
子どもたちのきらきらとした可愛さと、霊たちのゾッとするような描写の対比がより恐怖を掻き立てる…。
小説版第1シーズンの区切りまで進んでいるので、まとめ買いもおすすめです。
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まとめ
小説は全部で8巻。作者の香月先生がご逝去されたため、第3シーズンは叶わぬ夢となりました。
大人買いしてバーっと勢いのまま読んで、懐かしさと面白さで充実した後寂しさがサーッと流れ込んできました。
8巻も書いてくださった…でも8巻しかない。もっと長く三人の物語を見ていたかったな~とぼんやり思う日々です。そしてこの素敵な作品を子どもたちへ伝えていけたらなと。
児童向け小説なので、お子様へのプレゼントにもおすすめです。気になった方は是非1巻!読んでみてください。